今回は、日産が世界に誇るGT-Rのさらに限定モデルのエゴイストのダッシュボードにレザーズーム!
綺麗に毛穴が確認できます。GT-Rでもエゴイストだけはダッシュボードにまで
シートンレザー社のセミアニリンレザーがおごられています。
たとえば同じGT-Rであってもプレミアムエディションの場合、
ステッチが入ったダッシュボードは本革ではなく、PVC(ポリ塩化ビニール)という合成樹脂素材の合皮で、下はPP(ポリプロピレン)となっています。
当然、エゴイストのダッシュボードとは違って
プレミアムエディションでは毛穴は確認できません。ただ、合皮ダッシュボードではありますが、型押しのパターンは非常に凝っています。
合皮を本革のように見せるため、各社こぞって牛革や豚革などの天然皮革からシボのデータを採取しています。浅いシボを型押した上からさらに
異なるパターンで型押しをしているのが確認できるかと思います。ここにさらにランダムな毛穴まで作ったら、合皮といえども本当に侮りがたいことになるでしょう。
ちなみに、
エゴイストの機構面はノーマルのGT-Rと変わらないのに、ノーマル比5割増しと非常に高いです。
GT-Rは32型のころからタチエスがシートを開発しており、オプションのレカロシートであってもレカロとタチエスが共同で開発しています。そして、革の張り込みもタチエスの職人が行っているのですが、エゴイストだけはエゴイスト専用の革がドイツから輸入され、
タチエス社内のエゴイスト認定職人が張り込みを行います。
さらに、エゴイストでもダッシュボードだけは
革の張り込みをドイツで行っています。つまり、ダッシュボードのパーツを丸ごと一旦ドイツへ空輸するのです。レザーダッシュボードはただレザーは張り付ければ良いという話ではありません。気温や湿度など気候条件による伸縮も見据えてパーツのクリアランスを調整しなければなりませんし、少なくとも十年単位での使用環境を見越した張り込みをしなければなりません。クリアランスを見誤って軋み音が発生するなど論外で、使用する革の部位、調整すべき革の厚さ、最適な鞣し方など、求められる技術レベルは途方もなく高いです。
ドイツ車メーカーの歴史はすなわち自動車の歴史とも言えるだけあって、ドイツにはダッシュボードの難しい革張り作業を専門にする集団がいくつか存在しています。エゴイストのダッシュボードを請け負っているのはシートンレザー社で、日本ではシートン・ミュルハイムA.D.ルールと表記されることもあります。
そうやってドイツで張り込みを終えたエゴイストのレザーダッシュボードが、
またタチエスに空輸されて組み付けられます。
ダッシュボード一つを見ても、
エゴイストが高くなるのは当然なほど手間暇かけられています。
シートも通常のGT-Rとは別ラインで組み立てられますし、工場での慣らし運転もエゴイストだけはダミーシートに付け替えて走行されます。オーナー以外の人間が最初に座ることがないように、エゴイストオーナーのプライドに対するおもてなしです。
そして、そのようなこまごまとした事情を全く知らなくとも、エゴイストのドアを開け、そこに広がる
フルレザーの世界を目の当たりにすれば、5割増しでも値段相応の一台だと納得せざるを得ません。
この記事へのコメントはありません。